看護師を目指す方にとって、避けては通れないのが「看護実習(臨地実習)」です。病院や施設での実習は、看護師としての知識や技術だけでなく、患者様の心に寄り添う姿勢を学ぶ大切なプロセスです。
しかし、「看護実習は厳しい」「具体的に何をするのかわからない」といった不安から、看護師への道を迷ってしまう方もいるかもしれません。

この記事では、看護実習の種類や内容、事前に準備しておくべきポイントを詳しく解説します。これから看護学校への入学を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. 看護実習(臨地実習)の必要性
看護師の国家試験受験資格を得るためには、一定時間以上の「臨地実習」を修了することが法律で定められています。看護学校(3年制・4年制)のカリキュラムには必ず組み込まれており、学内での講義や演習で得た知識を、実際の現場でどう活かすかを学びます。
看護実習の目的は、単に技術を習得するだけではありません。
・疾患を持つ患者様の生活や心理を理解する
・多職種(医師・薬剤師・理学療法士・作業療法士など)との連携を学ぶ
・看護師としての責任感と倫理観を育てる
教科書だけでは学べない「生きた看護」を体験することで、将来どのような看護師になりたいかという明確なビジョンを持つことができます。
2.看護実習の種類と内容
看護実習は、学年に応じてステップアップしていく形式が一般的です。
1. 基礎実習
入学後、初めて行くのが基礎実習です。まずは病院の組織や看護師の役割、患者様の療養環境を「見学」することから始まります。後半には、指導教員や指導者の助言を受けながら、患者様の検温(バイタルサイン測定)や清拭(体を拭くこと)などの日常生活援助を一部体験します。

2.領域別実習
2年次後半から3年次にかけて行われる、より専門的な実習です。
成人看護学実習: 手術を受ける患者様や慢性期の方への看護
老年看護学実習: 高齢者の方の特性に合わせたケア
小児・母性看護学実習: 子どもさんや妊産婦さんへの関わり
精神看護学実習: 心のケアを必要とする方へのコミュニケーション
各領域で「看護過程(アセスメント)」を展開し、患者様一人ひとりに合った看護計画を立てて実践します。
3. 統合実習
卒業前最後の実習です。より臨床に近い形で、看護チームの一員としての動きや、優先順位の判断など、より実践的なスキルを磨きます。
3. 看護実習前に準備しておきたいこと
看護実習に臨む前には、「実習先の情報収集」と「基礎知識の復習」が不可欠です。
病棟・施設の特性を知る: 実習先のホームページで、どのような疾患の患者様が多いのか、病院の理念は何かを確認しておきましょう。
技術の再確認: 血圧測定や移乗介助など、学内で練習した技術をスムーズに行えるよう復習しておくと、現場での緊張を和らげることができます。
体調管理とマナー: 実習は体力勝負です。規則正しい生活を心がけ、身だしなみ(清潔感のある髪型や爪など)を整えておくことも大切です。
4. 看護実習を乗り越えるためのポイント
実習を充実したものにするために、以下の2点を意識してみましょう。
1. 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を徹底する
看護の現場では、患者様の安全が第一です。自分ひとりで判断せず、些細なことでも指導者や教員に「報告・連絡・相談」を行うことが重要です。これがスムーズにできることで信頼関係が築け、より深い指導を受けることができます。
2. 失敗を恐れず、積極的に学ぶ姿勢を持つ
学生のうちは、完璧にできなくて当然です。大切なのは、失敗したときに「なぜそうなったのか」「次はどうすべきか」を振り返ること。指導者からのアドバイスを素直に受け入れ、自分から動こうとする姿勢(積極性)は、現場のスタッフからも高く評価されます。
5. まとめ
看護実習は、看護師になるために避けて通れない大きな山場ですが、それを乗り越えた先には、患者様からの「ありがとう」という言葉や、自分自身の大きな成長が待っています。
看護師としての第一歩を、実習という貴重な経験からスタートさせてみませんか?これから看護師を目指す皆さんが、実習を通じて素敵な看護の形を見つけられるよう応援しています。
